ファインバブルの定義

定義

ファインバブル (Fine Bubble)」とは、単に小さいだけの泡(微細気泡)とは違い、国際標準化機構 (ISO) で定義される固有名称です。「ISO 20480-1:2017」

ファインバブル」とは、気泡の直径によりマイクロサイズの「マイクロバブル (Micro Bubble:MB) 」と、ナノサイズの「ウルトラファインバブル※1 (Ultrafine Bubble:UFB) 」の2種類に分類されています。
マイクロバブル」と「ウルトラファインバブル」も国際標準化機構 (ISO) で定義されています。

  1. 旧名称は「ナノバブル」
ファインバブルの定義
  ファインバブルFine Bubble  
泡の種類 ウルトラファインバブルUltrafine Bubble [UFB] マイクロバブルMicro Bubble [MB] ミリバブル/サブミリバブルMill/Submill Bubble
泡の直径 ~1μm未満 1μm以上~100μm未満 100μm以上~
比較対象物
  • ウィルス(数十~100nm)
  • タバコの煙(数十~500nm)
  • スギ花粉(約30μm)
  • 黄砂(500nm~5μm)
  • 普通の泡(数mm~)
  • 髪の毛の直径(約80~100μm)

歴史

「マイクロバブル」が世間に知られたのは、2000年頃に広島でのカキ養殖に微細な気泡を散気する技術が紹介されたことによります。その微細な気泡を「マイクロバブル」と読んだことから呼称が定着しました。
マイクロバブルは水産養殖業をはじめ、農業、臨床医療、化学工業などにも応用され、その製造法の多様化や改善とともに普及が進みました。また学術的にも研究が進み、多数の基礎研究や応用研究の成果が発表されました。
2007年頃にマイクロバブルをさらに微細化した「ナノバブル」とナノバブルによる有害物質の分解事例が新聞で注目されました。その後も臨床医療や植物栽培などの分野での成果が報告されました。
この当時使われていた「マイクロ」や「ナノ」は、「100万分の1」や「10億分の1」という意味ではなく、「微細な」および「極微細な」程度の呼称であり、使用者によって定義や解釈が異なることが頻繁にありました。
こうした事情から日本市場での「マイクロバブル」や「ナノバブル」を使用した製品や技術の普及・拡大とともに、これらの名称や定義の迅速な国際標準化が必要になり、2013年に国際標準化機構(ISO)(本部:ジュネーブ(スイス))にて「ファインバブル技術専門委員会(TC281)」が設立され、これらの“微細な気泡”の定義や規格化が検討されました。
ファインバブル技術専門委員会(TC281)において議論が行われ、2017年に「ファインバブル」、「マイクロバブル」、「ウルトラファインバブル」が定義されました。
日本では2012年7月にファインバブル産業会(略称:FBIA)が発足し、科学的な検討に基づく国際標準化、認証および利用技術開発などを総合的に行うプラットフォームとして、産学官連携によりファインバブル産業の健全な市場形成と、加速的な発展を目指し活動を行っています。

出典: 寺坂宏一・氷室昭三・安藤景太・秦隆志 『ファインバブル入門』 日刊工業新聞社、 2016

ファインバブルの特徴

ファインバブル」は単に気泡が小さいだけでなく、普段目にする数mm の気泡(ミリバブル)とは異なる様々な特徴を持っています。

見えない泡

写真1 目に見えないウルトラファインバブル
水中のUFBは目に見えませんが、レーザーポインターの光を当てるとレーザー光を散乱するため、その軌跡を確認することができます。

UFBは肉眼で見ることができません。
したがって、UFBが含まれる“UFB 水”を見ても“無色透明”に見えてしまいます(写真1)。

これは、UFBの気泡サイズ(ピークが100 ~ 200nm)が可視光線の波長よりも小さいため、光が殆ど散乱しないためです。

光学的に観測することができないという特徴のために、これまでは液体中でのUFBの存在が明確になっていませんでしたが、ここ数年で測定方法が確立され、効果のメカニズム検証が進んできました

浮かない泡

ファインバブルの特徴のひとつが水中での上昇速度が非常に遅いというものです。

通常のミリバブルは水中で急速に浮上し、水面で破裂しますが、MBは非常にゆっくりと上昇し、気泡内の気体が完全に溶解すると、水中で消滅してしまいます。
ここで気体が溶け残った場合は、さらに気泡サイズが小さくなり※2、UFB となります。

  1. 球形の気泡に働く界面張力は、内部の気体を圧縮する力として機能(自己加圧効果)し、その力は気泡径が小さいほど強くなります。
    これにより、マイクロサイズの気泡(MB) は浮上しても膨張せずに収縮していきます。
ファインバブルの生成プロセス
出典:ファインバブル産業会 資料

ファインバブルの活用分野

ファインバブルの活用可能性分野および活用例

  • 環境

    • 土壌浄化
    • 地下水浄化
    • 工場排水処理
    • 汚泥減容化
    • 有害物分解
    • 藻類除去
    • 凝集SSの浮上分離
  • 農業

    • 農畜産物の成長促進
    • 農畜産物の収量増加
    • 農畜産物の品質向上
    • 鮮度保持
    • 液肥
    • 生産管理(植物工場等)
  • 食品

    • 鮮度保持
    • 酸化防止
    • 風味の付与
    • 食感の付与
    • 香りの付与
  • 水産業

    • 水産物の成長促進
    • 水産物の収量増加
    • 水産物の品質向上
    • 養殖環境改善
    • 鮮度保持
  • 洗浄

    • トイレ洗浄
    • 生産ライン洗浄
    • 塩害対策
    • 配管汚れ除去
    • ガラス鱗状痕対策
    • 洗濯機
    • 野菜・食品
  • 産業

    • 精密剥離
    • シリコンウエハー薄膜分離
  • 美容

    • 温泉(気泡風呂)
    • 洗顔・頭皮洗浄
    • ナノテク化粧品
    • シャワーヘッド
  • その他

    • 医療、医薬品
    • 船舶
    • 製紙
    • 日用品
    • エネルギー
    • 水族館
出典: 経済産業省 九州経済産業局 『ファインバブル活用事例集』 2018