分野

ファインバブルの活用分野
活用分野 活用方法 ファインバブルの効果

環境

  • 工場排水処理
  • 汚泥減容化
  • 水質浄化(藻類抑制等)
  • 水質改善(貧酸素対策等)
  • 微生物の活性化
  • ガスの高効率反応
  • 反応促進
  • 酸素の高効率溶解

農業

  • 成長促進
  • 収量増加
  • 品質向上
  • 生理活性効果

食品

  • 鮮度保持
  • 酸化防止
  • 薬剤使用量削減
  • 脱酸素効果(ガスの置換)
  • 反応性向上によるガスの有効利用

水産業

  • 成長促進
  • 斃死率減少
  • 鮮魚の鮮度保持
  • 酸素の高効率溶解
  • 細菌抑制
  • 免疫力向上
  • 脱酸素効果(ガスの置換)

洗浄

  • トイレの洗浄
  • 衣類の洗浄
  • 金属部品洗浄
  • 食品の洗浄
  • 浸透性向上
  • 剥離効果
  • 物理吸着
  • 剥離効果
  • 浮上分離
  • ガスを利用した殺菌

産業

  • 精密剥離
  • シリコンウエハー薄膜分離
  • 浸透性向上

美容

  • 温泉(気泡風呂)
  • 洗顔・頭皮洗浄
  • シャワーヘッド
  • ナノテク化粧品
  • 温浴効果
  • 油脂分除去(浸透性)
  • 浸透性向上

その他

  • 医療、医療機器
  • 船舶
  • エネルギー
  • ガス利用による殺菌
  • 推進力向上(抵抗減少)
  • 燃焼効率向上

ファインバブル活用例

ファインバブルを活用した高効率排水処理

【上】工場排水の処理に使用されている UFB 発生装置『フォームジェット』/【下】難分解物質ブルー液晶着色廃液脱色処理の様子(A:原水 B:オゾン UFB 反応・約 3 分間 C:処理水)

排水処理の分野では、処理原水に対してマイクロバブル(以下、MB)もしくはウルトラファインバブル(以下、UFB)を添加することにより、処理効率が改善する事例が多数報告されています。

一般的な排水処理には微生物による生物分解が活用されますが、ファインバブルの気体溶解効果を活かすことで、水中の酸素濃度を微生物がより活動しやすい高濃度に保つことができます。MBを使用した場合の溶存酸素濃度は通常のエアレーション実施時よりも高いため、高効率の排水処理が期待できます。

弁当工場からの排水処理において、生物処理での負荷を低減するために酸素UFBが使用された事例もあります。この事例では、生物処理(活性汚泥処理)の前段(流量調整槽)に酸素UFBを添加することにより、流量調整槽前後のBOD(生物化学的酸素要求量)濃度を 1,179mg/l から 527mg/l に低減しています(滞留時間 10 時間)。このケースでは、余剰汚泥発生量についても 1/2 程度に縮減しており、ランニングコストを抑えることも可能です。

一方、産業系の排水処理には微生物処理が困難な難分解性有機物や色度の除去が必要なため、より酸化力の強いオゾンによる高度処理が広く使われています。しかしながら、オゾン処理はコスト負担が大きく、その高効率化が求められています。
ファインバブルはこのオゾン処理との相性が良く、通常のオゾンバブリングと比較してオゾン MB は 10 倍近い効率を得たという報告があります。また、オゾンを MB に封入することでオゾンの強酸化力を生む要素であるフリーラジカルの発生量が劇的に増加すると報告されており、これも高効率化を後押しするものと考えられます。

出典:経済産業省 九州経済産業局 『ファインバブル活用事例集』 2018

UFBによる農作物の成長促進

【上】稲苗の育苗で UFB が活用された事例では、根の長さが通常のものと比べて 2 倍以上に成長している。
【下】レタス栽培の重量比較のグラフ。UFB 水による栽培の優位性が重量の差に表れている。

農業分野におけるファインバブル活用は他分野より進んでいます。既に、野菜、果物(いちご)、花き(バラ等)、水稲などに対して UFB もしくは酸素 UFBと養液等を組み合わせて供給し、農作物の成長促進に繋がった多くの事例があります。

通常の水で育てたものと実績比較をすると、養液土耕方式によるいちご高設栽培(酸素 UFB水供給)で総収穫量が 24%増加・糖度 0.9度増加、ミニトマト(4 種)の水耕栽培(UFB 水供給)で収穫量約20% 増加・糖度約2度増加、植物工場におけるレタス水耕栽培(酸素 UFB 水供給)で重量が約 2.5 倍に向上(播種後 50 日)といった結果が報告されています。

その他にも、UFB活用に伴う追加的な効果として、根部の成長促進、根腐れが発生しない、バクテリア繁殖抑制効果なども報告されており、植物工場やハウス等で環境制御を行っている場合や高付加価値な商品作物の生産には特に大きなメリットが期待できます。

出典:経済産業省 九州経済産業局 『ファインバブル活用事例集』 2018

ファインバブルで食感にこだわったマヨネーズを創る

【上・中】ファインバブルを活用した『キユーピーシェフスタイルマヨネーズ』のパッケージとマヨネーズ。業務用マヨネーズのラインナップのひとつとして多くのユーザーに使われている/【下】マヨネーズを拡大した様子。マイクロサイズのバブルが多く含まれていることがわかる

キユーピー株式会社は 1998 年から主力商品のひとつであるマヨネーズの製造にファインバブルを活用しています。同社のマヨネーズには様々なラインナップがありますが、ファインバブルが活用されているのは『シェフスタイルマヨネーズ』および『ハーフ(惣菜用)』の業務用2種です。

“ふっくらとして口どけの良い食感”をマヨネーズに与えたい。これが同社がファインバブル導入を決めたきっかけです。マヨネーズの製造工程にはミキサーによる原材料の撹拌プロセスがありますが、混ぜ合わされた原材料の空気を抜いて(脱気)再びミキサーに掛けるのが通常です。一方、ファインバブルを使った 2製品では、前段の脱気後に窒素ガスを吹き込み、後段のミキサーで 50 μ m 以下のマイクロレベルまで窒素ガスの泡を細かくします。産学連携の研究成果も活用しながら、適切な泡のサイズを見つけるまで試行錯誤を重ね、ようやく 2003年に『シェフスタイルマヨネーズ』の商品化にたどり着いたといいます。

ファインバブルの活用は、食感だけでなく味や見た目にもプラスの効果を生み出しました。酸味をやわらげる効果は惣菜用のマヨネーズに適しており、2008年に『ハーフ(惣菜用)』として商品化されました。また、惣菜用のマヨネーズには、惣菜と混ぜ合わせた際の保水性(素材から抜けてしまった水分を抱える能力)が特に求められますが、同商品の保水性は従来品よりも高いという結果が出ています。惣菜を販売するにあたって、野菜等から抜けた水分がパッケージ中に溜まってしまうと、見た目が悪くなってしまいますが、このマヨネーズを使うと水分が抜けにくいため、加工商品の付加価値にもなっています。

このように、ファインバブルを活用したマヨネーズ商品は、当初期待していた食感の他にも味や保水性など商品価値を高めるプラスの効果を有しており、業務用マヨネーズラインナップの定番となって、多くのユーザーからこだわりを持って使われています。

出典:経済産業省 九州経済産業局 『ファインバブル活用事例集』 2018

UFBによる鮮度保持で高品質な鮮魚を海外にも届ける

【左】水槽投入型のUFB 発生装置『ナノフレッシャー』は、延縄船漁槽での活用が広がりつつある。/【右】UFB 発生装置のコア技術『ラモンドナノミキサー』は駆動部を持たない流体混合器。
【上】24 時間が経過した養殖ハマチの切り身。UFB 洗浄を行うことで血合いの部分の変色が抑えられており、身の張りがあり、切り口の角も立っている。/【下】同じく24 時間が経過したアルゼンチン赤エビもUFB 洗浄を行うと頭部の変色が殆ど無い。
同社が実施した、酸素UFB を利用した陸上養殖におけるウマズラハギの成長比較(成長促進効果の例)。酸素UFB を活用すると、出荷可能サイズに成長するまでの期間を数ヶ月短縮できたという。

北九州で鮮魚の卸売販売等を手掛ける丸福水産株式会社は、2012年頃から水産物の鮮度保持にウルトラファインバブル(UFB)を活用しています。鮮魚には、その鮮度によって刺身用、煮付け用、加工用などのランクがありますが、時間が経てば経つほどランクは下がり、商品価値が低下してしまいます。同社は、UFBを活用した鮮度保持を行うことで鮮魚のランクダウンを防ぐ技術を独自開発し、高品質な商品を長期間・遠方まで供給できる体制を整えています。

この鮮度保持技術は、鮮魚を高濃度のUFB 海水で一定時間浸漬するというものですが、顧客ニーズに応じてUFB に使用する気体を“窒素”と“酸素”で使い分けることで更なる高付加価値を生み出しているのが特徴です。

高品質な刺身用鮮魚は一般的に1日程度で鮮度が落ち、刺身用として販売できなくなりますが、輸送前後(仕入れ時と小売店舗到着時)で鮮魚を窒素UFB 海水に浸漬(浸漬時間は魚種により異なる)することで、鮮魚の酸化と細菌増殖を防止し、長期間の鮮度保持が可能になりました。鮮魚の鮮度指標であるK値や一般生菌数の推移を測定した結果、5~7日程度は鮮度保持できることが確認されており、同社は鮮魚販売のターゲットを海外にも広げています。

一方、鮮魚の商品価値に大きく影響を及ぼす見た目(魚本来の色)を重視する場合は、酸素UFBを選択します。鮮度保持期間は窒素には劣りますが、2~3日程度は鮮度保持が可能であり、鮮魚が消費者の目に触れる小売店や飲食店での販売に特に大きな効果を発揮します。酸素を使うと鮮魚の酸化が促進され、余計に鮮度が落ちるのではないか、と考えてしまいますが、これについては、独立行政法人水産総合研究センターの研究により、UFB 技術で飽和濃度を超える超高酸素濃度環境(酸化を抑制し酸素化を促進する環境)を造ることで、鮮魚内部に酸素が行き渡り、鮮魚本来の色が保持されることが明らかになっています。

丸福水産は、1995 年から同社のラモンド事業部においてハニカム構造による流体混合装置『ラモンドナノミキサー』の研究開発に取り組み、その技術を活かしたUFB発生装置を独自に開発しました。2008年には同事業部を分離独立させた株式会社ナノクスを設立し、更なる技術向上によりUFB 発生装置の販売を開始・展開しています。最近では、近海マグロ延縄船の漁槽でのマグロ保存技術として同社のUFB発生装置『ナノフレッシャー』が広まりつつあり、薬を使わないマグロの保存方法として注目されています。

出典:経済産業省 九州経済産業局 『ファインバブル活用事例集』 2018

UFB を活用したトイレ洗浄で水の使用量が1/100 に

【上】UFB を活用したトイレ洗浄の様子。UFB 水は噴霧して湿らせる程度で良い。/【下】噴霧したUFB 水はモップで簡単に拭き取ることができる。
【上】新たに開発された小型UFB 発生装置『BUVITT』。NEXCO 西日本はこの装置を全施設に設置する予定。/【下】Ligaric 社のUFB 発生装置は異分野(写真は農業分野の例)でも活用され始めている(詳細は事例2参照)。

サービスエリアやパーキングエリアといった高速道路の休憩施設にあるトイレは誰もが利用する施設であり、その清潔さ・快適さが高速道路利用者の満足度に大きく影響を与えます。西日本高速道路株式会社(NEXCO 西日本)は『世界一きれいなトイレを目指す』ため、その一環としてトイレ洗浄にウルトラファインバブル(UFB)を活用しています。

休憩施設のトイレは24時間365日いつでも利用する空間です。しかしながら、従来の清掃方法では大量の水を床面に散布して清掃していたため、デッキブラシで洗浄して水を回収するまでの間、トイレの利用は制限されていました。一方、UFBを活用した洗浄は、UFBを含んだ水道水で床面を湿らせる程度に散布しモップで拭き取るだけで従来と同等の洗浄効果が得られます。この方法であれば、清掃時間を大幅に短縮できるだけでなく、床面の乾燥も早いため、利用者への影響を最小限に抑えることができます。

UFB洗浄のメリットはそれだけではありません。トイレの清潔さを短時間の清掃で維持できるので、清掃スタッフの作業負荷が減り、スタッフの満足度も高まっているといいます。また、UFB水使用前と比較して洗浄水の使用量がおよそ100分の1に減り、原則として洗剤を使用しないことから“環境にやさしく”かつ“経済的”な清掃方法といえます。

現在はその活用の幅も広がっています。中水(再生処理水)をフラッシング水として使用しているトイレでは、中水にUFBを付加することで尿石が便器に付着するのを緩和しています。また、トイレ清掃以外でも、鋼製橋梁の橋桁部における塩類の高圧洗浄にもUFB 水が効果を発揮しています。

NEXCO西日本は平成21年頃からUFB水を活用したトイレ清掃の導入を拡大し、平成24年にはUFB発生装置メーカー株式会社Ligaric(リーガレック)を設立するなど、積極的に洗浄分野でのUFB活用に取り組んでいます。現在は、地域の拠点でUFB 水を製造し、各休憩施設に運搬して使用する方式が主ですが、新たに各休憩施設に設置できる小型のUFB 発生装置『BUVITT』(20Lタンク内蔵型)を開発し、平成27年度より5年間で普及率を100% にするとしています。なお、平成27年度には事業エリア内にある約300箇所の休憩施設のうち約8 割でUFB によるトイレ洗浄を行う計画です。

Ligaric 社を中心に、UFB洗浄に適したバイオ洗剤や休憩施設の汚水処理技術の開発も並行して進んでおり、最近では東北や関東でもUFBによる洗浄導入が進むなど、同社の技術・ノウハウの展開が拡大しています。

出典:経済産業省 九州経済産業局 『ファインバブル活用事例集』 2018

UFB を活用したシリコンウェハーの分離

【上】ファインバブル水中の太陽電池シリコンウェハーインゴットの様子。密着した薄膜ウェハーが、時間が経つにつれ(写真の右側に向かって)分離していくのがわかる。/【下】ウェハー分離のプロセス。ウェハーの隙間には、UFB からMB へと次第に大きなバブルが浸透し、ウェハー1 枚1 枚を分離していく。

太陽電池のシリコンウェハー(以下「ウェハー」という)は、シリコンの塊(インゴット)を薄くスライスして造られ、それらが積み重なった状態で次の工程に供給されます。供給されたウェハーは加工のために1枚ずつ分離する必要がありますが、近年コストダウンのための技術向上により、急速に薄膜化(厚さ数百ミクロン)が進んでいます。この薄膜化が進めば進むほど、分離工程でウェハーが割れ、歩留まりに大きく影響していました。

その解決手段として、ウルトラファインバブル(UFB)が微細な隙間に入り込みやすいという性質が活用されています。供給されたウェハーの塊(ウェハーが積み重なった状態)に一定割合のマイクロバブル(MB)とUFBを供給すると、ナノサイズのUFBがウェハーの隙間に入り込んでギャップを広げるとともに、引き続きサイズの大きなMBが入り込んで1枚1枚を簡単に分離することができるのです。ウェハーは、その後1枚ずつ搬出されますが、各ウェハーの隙間に形成されたバブル層がクッションの役割を果たしています。

出典:経済産業省 九州経済産業局 『ファインバブル活用事例集』 2018

産業排水処理改善(FJ酸素ガス)

酸素ガスで微生物を活性させて処理を促進
既存処理設備の大幅な改造をせず設置可能

できること
  1. 排水処理設備の能力増強
  2. 余剰汚泥発生量削減
  3. 悪臭発生抑制

産業排水中の難分解性物質易分解化(ファビーオゾンガス)

オゾンガスの酸化力で難分解性物質を易分解化
難分解性物質の河川・湖への排出を抑制

できること
  1. 易分解化
  2. 環境負荷低減

アルカリ性排水中和(中和装置 炭酸ガス)

炭酸ガスでセメント工事現場のアルカリ性排水を中和
効率的なガス溶解とガス量自動制御で処理可能

できること
  1. 炭酸ガス使用量の削減
  2. 安定的連続処理

釣堀貧酸素対策・底泥改質(FJ酸素ガス)

酸素ガスで魚の住環境改善と底泥の浄化

できること
  1. へら鮒斃死の抑制
  2. 底泥ヘドロ化の抑制
  3. 悪臭発生の抑制

池 アオコ・藻対策(FJオゾンガス)

オゾンガスで広域のアオコ・藻を殺藻して水質改善

できること
  1. アオコ・藻の殺藻
  2. 水質改善

海域(諫早湾)貧酸素対策(FJ酸素ガス)

酸素ガスで貧酸素水塊による水産被害対策
アサリ養殖漁場(距離300m)に向けて32トン/分の高濃度酸素水を供給

できること
  1. 広範囲の貧酸素改善
  2. 底質の全硫化物減少

農作物成長活性(FJ酸素ガス)

酸素ガスとUFBの浸透性で作物成長促進

できること
  1. 成長促進
  2. 収量増加

イカスミ除去(泡沫分離装置 空気)

バブルによる泡沫分離で魚の住環境改善

できること
  1. 微粒子汚泥物質の除去
  2. 魚類体表粘液や残餌の除去

鮮魚鮮度保持(FJ窒素ガス)

窒素ガスによる脱酸素水で鮮魚の酸化や腐敗を抑制して従来より長期間鮮度保持が可能

できること
  1. 酸化・好気性細菌繁殖の抑制
  2. 鮮度保持期間の長期化

海苔加工水リサイクル(すき水処理装置 オゾンガス)

オゾンの酸化力で海苔の色素で着色した水道水を脱色・殺菌してリサイクル

できること
  1. 脱色
  2. 殺菌

スクラバー水脱臭・脱色(FJ オゾンガス)

スクラバー水汚濁状態からの脱臭・脱色
オゾンの酸化力で汚泥成分を分解し、後段の排水処理施設への負荷軽減

できること
  1. 脱臭・脱色
  2. 負荷軽減

車両殺菌消毒(ファビーオゾンガス)

オゾンの酸化力で家畜・飼料の輸送車両を殺菌

できること
  1. 一般細菌類の殺菌
  2. 家畜伝染病拡大予防