【上】工場排水の処理に使用されている UFB 発生装置『フォームジェット』/【下】難分解物質ブルー液晶着色廃液脱色処理の様子(A:原水 B:オゾン UFB 反応・約 3 分間 C:処理水)

排水処理の分野では、処理原水に対してマイクロバブル(以下、MB)もしくはウルトラファインバブル(以下、UFB)を添加することにより、処理効率が改善する事例が多数報告されています。

一般的な排水処理には微生物による生物分解が活用されますが、ファインバブルの気体溶解効果を活かすことで、水中の酸素濃度を微生物がより活動しやすい高濃度に保つことができます。MBを使用した場合の溶存酸素濃度は通常のエアレーション実施時よりも高いため、高効率の排水処理が期待できます。

弁当工場からの排水処理において、生物処理での負荷を低減するために酸素UFBが使用された事例もあります。この事例では、生物処理(活性汚泥処理)の前段(流量調整槽)に酸素UFBを添加することにより、流量調整槽前後のBOD(生物化学的酸素要求量)濃度を 1,179mg/l から 527mg/l に低減しています(滞留時間 10 時間)。このケースでは、余剰汚泥発生量についても 1/2 程度に縮減しており、ランニングコストを抑えることも可能です。

一方、産業系の排水処理には微生物処理が困難な難分解性有機物や色度の除去が必要なため、より酸化力の強いオゾンによる高度処理が広く使われています。しかしながら、オゾン処理はコスト負担が大きく、その高効率化が求められています。
ファインバブルはこのオゾン処理との相性が良く、通常のオゾンバブリングと比較してオゾン MB は 10 倍近い効率を得たという報告があります。また、オゾンを MB に封入することでオゾンの強酸化力を生む要素であるフリーラジカルの発生量が劇的に増加すると報告されており、これも高効率化を後押しするものと考えられます。

出典:経済産業省 九州経済産業局 『ファインバブル活用事例集』 2018