ファインバブル活用例 - 水産業
UFBによる鮮度保持で高品質な鮮魚を海外にも届ける
北九州で鮮魚の卸売販売等を手掛ける丸福水産株式会社は、2012年頃から水産物の鮮度保持にウルトラファインバブル(UFB)を活用しています。鮮魚には、その鮮度によって刺身用、煮付け用、加工用などのランクがありますが、時間が経てば経つほどランクは下がり、商品価値が低下してしまいます。同社は、UFBを活用した鮮度保持を行うことで鮮魚のランクダウンを防ぐ技術を独自開発し、高品質な商品を長期間・遠方まで供給できる体制を整えています。
この鮮度保持技術は、鮮魚を高濃度のUFB 海水で一定時間浸漬するというものですが、顧客ニーズに応じてUFB に使用する気体を“窒素”と“酸素”で使い分けることで更なる高付加価値を生み出しているのが特徴です。
高品質な刺身用鮮魚は一般的に1日程度で鮮度が落ち、刺身用として販売できなくなりますが、輸送前後(仕入れ時と小売店舗到着時)で鮮魚を窒素UFB 海水に浸漬(浸漬時間は魚種により異なる)することで、鮮魚の酸化と細菌増殖を防止し、長期間の鮮度保持が可能になりました。鮮魚の鮮度指標であるK値や一般生菌数の推移を測定した結果、5~7日程度は鮮度保持できることが確認されており、同社は鮮魚販売のターゲットを海外にも広げています。
一方、鮮魚の商品価値に大きく影響を及ぼす見た目(魚本来の色)を重視する場合は、酸素UFBを選択します。鮮度保持期間は窒素には劣りますが、2~3日程度は鮮度保持が可能であり、鮮魚が消費者の目に触れる小売店や飲食店での販売に特に大きな効果を発揮します。酸素を使うと鮮魚の酸化が促進され、余計に鮮度が落ちるのではないか、と考えてしまいますが、これについては、独立行政法人水産総合研究センターの研究により、UFB 技術で飽和濃度を超える超高酸素濃度環境(酸化を抑制し酸素化を促進する環境)を造ることで、鮮魚内部に酸素が行き渡り、鮮魚本来の色が保持されることが明らかになっています。
丸福水産は、1995 年から同社のラモンド事業部においてハニカム構造による流体混合装置『ラモンドナノミキサー』の研究開発に取り組み、その技術を活かしたUFB発生装置を独自に開発しました。2008年には同事業部を分離独立させた株式会社ナノクスを設立し、更なる技術向上によりUFB 発生装置の販売を開始・展開しています。最近では、近海マグロ延縄船の漁槽でのマグロ保存技術として同社のUFB発生装置『ナノフレッシャー』が広まりつつあり、薬を使わないマグロの保存方法として注目されています。
出典:経済産業省 九州経済産業局 『ファインバブル活用事例集』 2018
イカスミ除去(泡沫分離装置・空気)
バブルによる泡沫分離で魚の住環境改善
- できること
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- 微粒子汚泥物質の除去
- 魚類体表粘液や残餌の除去
- 泡沫分離装置
- マリンフレッシュ M-15PS
- 処理水量
- 1.5m3/h
鮮魚鮮度保持(FJ・窒素ガス)
窒素ガスによる脱酸素水で鮮魚の酸化や腐敗を抑制して従来より長期間鮮度保持が可能
- できること
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- 酸化・好気性細菌繁殖の抑制
- 鮮度保持期間の長期化
対象
- 魚種
- メジナ
- 対象海水量
- 80L
- 場所
- 鹿児島県
- 試験日
- 2017年1月
装置
- FB発生装置
- フォームジェット FJM-6-SP
- 窒素濃縮器
- ITN-01
- 処理水量
- 100L/min
- 窒素供給量
- 2L/min
海苔加工水リサイクル(すき水処理装置・オゾン)
オゾンの酸化力で海苔の色素で着色した水道水を脱色・殺菌してリサイクル
- できること
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- 脱色
- 殺菌