ファインバブル活用例 - 食品

ファインバブルで食感にこだわったマヨネーズを創る

【上・中】ファインバブルを活用した『キユーピーシェフスタイルマヨネーズ』のパッケージとマヨネーズ。業務用マヨネーズのラインナップのひとつとして多くのユーザーに使われている/【下】マヨネーズを拡大した様子。マイクロサイズのバブルが多く含まれていることがわかる

キユーピー株式会社は 1998 年から主力商品のひとつであるマヨネーズの製造にファインバブルを活用しています。同社のマヨネーズには様々なラインナップがありますが、ファインバブルが活用されているのは『シェフスタイルマヨネーズ』および『ハーフ(惣菜用)』の業務用2種です。

“ふっくらとして口どけの良い食感”をマヨネーズに与えたい。これが同社がファインバブル導入を決めたきっかけです。マヨネーズの製造工程にはミキサーによる原材料の撹拌プロセスがありますが、混ぜ合わされた原材料の空気を抜いて(脱気)再びミキサーに掛けるのが通常です。一方、ファインバブルを使った 2製品では、前段の脱気後に窒素ガスを吹き込み、後段のミキサーで 50 μ m 以下のマイクロレベルまで窒素ガスの泡を細かくします。産学連携の研究成果も活用しながら、適切な泡のサイズを見つけるまで試行錯誤を重ね、ようやく 2003年に『シェフスタイルマヨネーズ』の商品化にたどり着いたといいます。

ファインバブルの活用は、食感だけでなく味や見た目にもプラスの効果を生み出しました。酸味をやわらげる効果は惣菜用のマヨネーズに適しており、2008年に『ハーフ(惣菜用)』として商品化されました。また、惣菜用のマヨネーズには、惣菜と混ぜ合わせた際の保水性(素材から抜けてしまった水分を抱える能力)が特に求められますが、同商品の保水性は従来品よりも高いという結果が出ています。惣菜を販売するにあたって、野菜等から抜けた水分がパッケージ中に溜まってしまうと、見た目が悪くなってしまいますが、このマヨネーズを使うと水分が抜けにくいため、加工商品の付加価値にもなっています。

このように、ファインバブルを活用したマヨネーズ商品は、当初期待していた食感の他にも味や保水性など商品価値を高めるプラスの効果を有しており、業務用マヨネーズラインナップの定番となって、多くのユーザーからこだわりを持って使われています。

出典:経済産業省 九州経済産業局 『ファインバブル活用事例集』 2018