【上】ファインバブル水中の太陽電池シリコンウェハーインゴットの様子。密着した薄膜ウェハーが、時間が経つにつれ(写真の右側に向かって)分離していくのがわかる。/【下】ウェハー分離のプロセス。ウェハーの隙間には、UFB からMB へと次第に大きなバブルが浸透し、ウェハー1 枚1 枚を分離していく。

太陽電池のシリコンウェハー(以下「ウェハー」という)は、シリコンの塊(インゴット)を薄くスライスして造られ、それらが積み重なった状態で次の工程に供給されます。供給されたウェハーは加工のために1枚ずつ分離する必要がありますが、近年コストダウンのための技術向上により、急速に薄膜化(厚さ数百ミクロン)が進んでいます。この薄膜化が進めば進むほど、分離工程でウェハーが割れ、歩留まりに大きく影響していました。

その解決手段として、ウルトラファインバブル(UFB)が微細な隙間に入り込みやすいという性質が活用されています。供給されたウェハーの塊(ウェハーが積み重なった状態)に一定割合のマイクロバブル(MB)とUFBを供給すると、ナノサイズのUFBがウェハーの隙間に入り込んでギャップを広げるとともに、引き続きサイズの大きなMBが入り込んで1枚1枚を簡単に分離することができるのです。ウェハーは、その後1枚ずつ搬出されますが、各ウェハーの隙間に形成されたバブル層がクッションの役割を果たしています。

出典:経済産業省 九州経済産業局 『ファインバブル活用事例集』 2018