【上】UFB を活用したトイレ洗浄の様子。UFB 水は噴霧して湿らせる程度で良い。/【下】噴霧したUFB 水はモップで簡単に拭き取ることができる。

サービスエリアやパーキングエリアといった高速道路の休憩施設にあるトイレは誰もが利用する施設であり、その清潔さ・快適さが高速道路利用者の満足度に大きく影響を与えます。西日本高速道路株式会社(NEXCO 西日本)は『世界一きれいなトイレを目指す』ため、その一環としてトイレ洗浄にウルトラファインバブル(UFB)を活用しています。

休憩施設のトイレは24時間365日いつでも利用する空間です。しかしながら、従来の清掃方法では大量の水を床面に散布して清掃していたため、デッキブラシで洗浄して水を回収するまでの間、トイレの利用は制限されていました。一方、UFBを活用した洗浄は、UFBを含んだ水道水で床面を湿らせる程度に散布しモップで拭き取るだけで従来と同等の洗浄効果が得られます。この方法であれば、清掃時間を大幅に短縮できるだけでなく、床面の乾燥も早いため、利用者への影響を最小限に抑えることができます。

【上】新たに開発された小型UFB 発生装置『BUVITT』。NEXCO 西日本はこの装置を全施設に設置する予定。/【下】Ligaric 社のUFB 発生装置は異分野(写真は農業分野の例)でも活用され始めている(詳細は事例2参照)。

UFB洗浄のメリットはそれだけではありません。トイレの清潔さを短時間の清掃で維持できるので、清掃スタッフの作業負荷が減り、スタッフの満足度も高まっているといいます。また、UFB水使用前と比較して洗浄水の使用量がおよそ100分の1に減り、原則として洗剤を使用しないことから“環境にやさしく”かつ“経済的”な清掃方法といえます。

現在はその活用の幅も広がっています。中水(再生処理水)をフラッシング水として使用しているトイレでは、中水にUFBを付加することで尿石が便器に付着するのを緩和しています。また、トイレ清掃以外でも、鋼製橋梁の橋桁部における塩類の高圧洗浄にもUFB 水が効果を発揮しています。

NEXCO西日本は平成21年頃からUFB水を活用したトイレ清掃の導入を拡大し、平成24年にはUFB発生装置メーカー株式会社Ligaric(リーガレック)を設立するなど、積極的に洗浄分野でのUFB活用に取り組んでいます。現在は、地域の拠点でUFB 水を製造し、各休憩施設に運搬して使用する方式が主ですが、新たに各休憩施設に設置できる小型のUFB 発生装置『BUVITT』(20Lタンク内蔵型)を開発し、平成27年度より5年間で普及率を100% にするとしています。なお、平成27年度には事業エリア内にある約300箇所の休憩施設のうち約8 割でUFB によるトイレ洗浄を行う計画です。

Ligaric 社を中心に、UFB洗浄に適したバイオ洗剤や休憩施設の汚水処理技術の開発も並行して進んでおり、最近では東北や関東でもUFBによる洗浄導入が進むなど、同社の技術・ノウハウの展開が拡大しています。

出典:経済産業省 九州経済産業局 『ファインバブル活用事例集』 2018